Mimesis

for orchestra with violoncello solo (2014-15)

Instrumentation

3 (doubling Picc.) – 2 – 3 (doubling Es-Cl., B-Cl.) – 2 / 4 (doubling Binzasara, Ratchet) – 3 – 3 – 1 (doubling Tamb.) / Timp. (Reversed Cym., Bird call, Woodblock) / 3 Perc. [ I : Water whistle, Vib., Anvil, Snare drum, Tam-tam, Cowbell / II : Bird call, Bass Drum, Glock., Cowbell, Roto-toms / III : Bird call, Mar., Xyl., Bongo, Kazoo, Snare drum ] / Pf. (doubling Cel.) / Harp / Vc. solo (doubling Vibraslap) / 12 (doubling Sleigh bells, Cabasa, Cast., Claves) – 10 (doubling Shaker) – 8 (doubling Tri., Chanchiki, Maraca) – 6 – 4 (doubling Hyoshigi, Guiro)

Duration

19′

Premiere

24th April 2015, Tokyo (Japan), Sogakudo Concert Hall (Tokyo University of the Arts), Kei Yamazawa (Vc. Solo) & Geidai Philharmonic Orchestra conducted by Kazufumi Yamashita

楽器編成

3(ピッコロ持ち替え)- 2 – 3(Esクラリネット、バス・クラリネット持ち替え)- 2 / 4(編木、ラチェット持ち替え)- 3 – 3 – 1(タンバリン持ち替え)/ティンパニ(シンバル、バードコール、ウッドブロック)- 3打楽器[Ⅰ:水笛、ヴィブラフォン、アンヴィル、小太鼓、タムタム、カウベル/Ⅱ:バードコール、大太鼓、グロッケンシュピール、カウベル、ロート・トム/Ⅲ:バードコール、マリンバ、シロフォン、ボンゴ、カズー、小太鼓]/ピアノ(チェレスタ持ち替え)/ハープ/独奏チェロ(ヴィブラスラップ持ち替え)/12ヴァイオリンⅠ(スレイベル、カバサ、カスタネット、クラベス持ち替え)- 10ヴァイオリンⅡ(シェーカー持ち替え)- 8ヴィオラ(トライアングル、チャンチキ、マラカス持ち替え)- 6チェロ – 4コントラバス(拍子木、ギロ持ち替え

演奏所要時間

19分

初演

2015年4月24日、東京藝術大学奏楽堂、《創造の杜2015 藝大現代音楽の夕べ》、山澤慧(Vc.)&藝大フィルハーモニア管弦楽団、山下一史(指揮)

Program Note (JP)

本作は生態学における「Mimesis=隠蔽擬態(捕食者から発見されないように生物が周囲の環境や植物に姿形を似せること)」から多くのアイディアを得ています。こうした、音楽以外の他分野における事象・現象に基づいたアナロジカルな音楽のアウトプットは、ここ3年ほど私の創作上の興味・実践となっており、本作も【擬態される対象(モデル)/モデルに擬態する生物(ミミック)/捕食者】という三者が存在する擬態の図式を【独奏チェロを伴うオーケストラ】というメディアにいかに変換するか案出することから作曲を始めました。
従って一見チェロ協奏曲のような形態を取っているものの、その実ソリストはソロとして顕在化したり、次第にオーケストラへ擬態していったり、突如“捕食者”として暴走し音楽の方向を変動させたり、カデンツァがほぼ身振りだけの視覚情報へ変換されていったり、最終的には落下して擬死(死んだふり)に陥ったりと、あたかもカメレオンのようにその身振りを自在に変化させていきます。
また、“モデル”となる音響体が次第に膨張し、ミクロな図式の集積が結果的に【①基本図式の提示/②①の時間構造への擬態/③異質なアンサンブルの闖入】といったマクロな類似の図式を形成していますが、これは生物学者エルンスト・ヘッケルが提唱した「反復説」に基づく、擬似的なフラクタル構造とも捉えられるかもしれません。尚、冒頭ではBird call(鳥の鳴き声を真似る音を出して鳥を呼び寄せ、元々は狩猟用に使われたもの)などが、「真似てだます」という擬態の図式の一端として示唆的に鳴らされます。